女性の更年期とは?原因や症状について解説
更年期症状とは、更年期(概ね50歳前後)に現れるさまざまな、他の病気に伴わない症状を指します。さらに、更年期症状の中でも症状が重く、日常生活に支障をきたすものを更年期障害と言います。原因は、主にエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量低下と考えられています。詳細な原因や対処法、関連する病気等についてご紹介します。
1.女性の更年期とは
閉経(生理がこない状態が12ヶ月以上続いたとき、12ヶ月前を起点として閉経したといいます)の前後5年間を合わせた計10年間を「更年期」といいます。
日本人の平均閉経年齢は約50歳と言われていますが、個人差が大きく、早い人は40歳台前半、遅い人は50歳台後半に閉経を迎えるそうです。
図1.年代と更年期の時期イメージ
引用:大塚製薬株式会社.”女性の一生と更年期”.更年期ラボ.
https://ko-nenkilab.jp/menopause/about01.html
「更年期症状」とは、更年期に現れるさまざまな、他の病気に伴わない症状を指します。例えば、頭痛、イライラ、ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、動悸・息切れ、等が挙げられます。
さらに、更年期症状の中でも症状が重く、日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」といいます。
2.女性の更年期の原因とは
更年期症状や更年期障害の主な原因は、女性ホルモンの変化と言われていますが、加齢などの身体的変化、心理的因子、社会的因子などの関与もあると考えられています。
①ホルモンの変化
更年期になると、卵巣機能が低下しエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が大きく変動しながら低下し、閉経に至ります。
図2.加齢におけるエストロゲン分泌量の変化
引用:大塚製薬株式会社.”女性の一生と更年期”.更年期ラボ.
https://ko-nenkilab.jp/menopause/about01.html
エストロゲンは生殖機能だけではなく、骨吸収や動脈硬化、血管の拡張など多様なはたらきに関与しており、エストロゲンの分泌量が低下することで、身体的、精神的にさまざまな症状が現れると言われています。
②ストレス
身体的、精神的ストレスがかかるとエストロゲンの分泌量が低下すると言われています。ストレスが脳へ影響し、エストロゲン含むホルモンの分泌制御を乱すためです。
3.女性の更年期特有の症状とは
エストロゲンの分泌量が低下、欠乏すると、ホルモンバランスが崩れ、自律神経(血圧、心拍、発汗等)をコントロールする働きも乱れます。これらに伴い、身体的、精神的にさまざまな症状が現れます。
図3.エストロゲン欠乏による諸症状
引用:大塚製薬株式会社.”更年期の身体の変化”.更年期ラボ.
https://ko-nenkilab.jp/menopause/about03.html
①更年期の身体的な症状
代表的な症状として、更年期の早期にホットフラッシュ(上半身ののぼせ、ほてり等)や発汗が挙げられます。
更年期の末期は、エストロゲンの欠乏により泌尿生殖器の萎縮や心血管系、骨量減少などのさまざまな症状が現れる場合があると言われています。
<事例>
● 血管運動神経系:ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、動悸・息切れ、寝汗・発汗、むくみ
● 皮膚・分泌系:のどの渇き、ドライアイ
● 消化器系:吐き気、下痢・便秘、胃もたれ、胸焼け
● 運動器官系:肩こり、腰痛、背中の痛み、関節痛、しびれ、手指の痛み・しびれ・変形
● 泌尿器・生殖器系:月経異常、尿失禁、性交痛
②更年期の精神的な症状
ホットフラッシュのような自律神経失調症状が出たあとに、倦怠感、不安、うつなどの精神的な症状が現れると言われています。
<事例>
● 精神神経系:頭痛、めまい、不眠、不安感、イライラ、うつ
4.女性の更年期への対処法とは
更年期症状や更年期障害は、人によって原因が異なり、また身体的・精神的な現れ方にも個人差が生じます。
加えて、更年期における女性の年齢を鑑みると、ライフステージが大きく変わる時期と重なります。仕事、家事、家族など環境の変化も心身へ影響を与える一因になります。
更年期症状や更年期障害は、適切な対処方法、治療方法でやわらげることができます。少しでも、つらいことや気になることがあれば、一人で抱え込まず、まずは専門医(婦人科医)へのご相談をおすすめします。
一般的な対象法は、食事や運動などの生活習慣の改善、心理療法、薬物療法が行われているようです。
■ 食事や運動などの生活習慣の改善
食事:
とくに、大豆イソフラボンを含む大豆製品を摂取することがおすすめです。
大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが、腸内細菌により代謝されると、エストロゲンと似た働きをする「エクオール」に変化します。
このエクオールのはたらきにより更年期症状が和らぐ可能性があります。
図4.エクオールの構造
引用:大塚製薬株式会社.”エクオールとは”.更年期ラボ.
https://ko-nenkilab.jp/equol/about01.html
運動:
運動は更年期症状の原因をダイレクトに解決するものではなく、更年期における症状を緩和(代表的な症状としては、いらいらや不眠等)する方法として捉えるのが一般的なようです。
ウォーキング、ストレッチ、筋力トレーニング、ヨガ、体操、競技スポーツ等、無理せず継続することが重要と言われています。
■ 心理療法
環境の変化や心理的因子が更年期症状や更年期障害に関与しているとみられる場合は、カウンセリングや認知行動療法も利用します。
私たちは、過度なストレスを感じたり、うつ状態になると悲観的な考えに偏りがちです。心理療法では、専門医の力を借りて、こういった考えのバランスをとり、ストレスに上手く対応できる自分自身をつくっていきます。
■ 薬物療法
生活習慣の改善や心理療法で改善しなかった症状に対して薬物療法を行います。薬物療法はさらに大きく3つに分けられています。
(1)漢方薬
漢方薬は2種類以上の生薬を組み合わせでつくるもので、原因が特定できない慢性的な症状や更年期症状や更年期障害のように複合的な症状にもアプローチできます。
(2)ホルモン補充療法
少量のエストロゲンを補う治療法(ホルモン補充療法:HRT)です。
(3)向精神薬
抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬などが挙げられます。情緒不安定、イライラ、不安、不眠などの症状が重い場合に適用が検討されるようです。
5.女性の更年期と間違いやすい病気とは
表1で更年期症状の事例を挙げていますが、原因が更年期なのか他にあるのか分からないこともあります。
更年期症状と間違えやすいと言われてる病気に「甲状腺疾患」が挙げられます。甲状腺は、主に体の新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンを分泌しますが、この甲状腺ホルモンの分泌過多・過少により現れる症状が更年期症状と似ています。
図5.甲状腺の部位
引用:あすか製薬株式会社.”甲状腺の病気”.女性のための健康ラボMint+.
https://www.aska-pharma.co.jp/mint/womanhealth/joseinobyoki/byoki06.html
甲状腺ホルモンの分泌過多では、動悸・息切れ、発汗、イライラ、月経異常等の症状が、甲状腺ホルモンの分泌過少では、冷え、便秘、月経異常等の症状が出るそうです。
その他の更年期症状と間違いやすい病気の事例は表のとおりです。もし、これらの症状が出れば、まずは専門医へのご相談をおすすめします。
表1.更年期症状と間違いやすい病気の対比例
出典:婦人画報.com.”重大な病と区別することが肝心! 更年期障害と間違えやすい他の病気”.
https://www.kateigaho.com/article/detail/119378/page2
6.よもぎ蒸しと更年期障害の関係とは
よもぎ蒸しが直接、エストロゲンの分泌に関与することはないと考えられますが、よもぎ蒸しは、約40℃の蒸気で体や粘膜部分を温めつつ、よもぎの成分を膣や肛門をとおし内臓へ届けます。
まるで温泉に入っているように体を芯から温めることができ、またよもぎの香り(よもぎに含まれるシネオール、α-ツヨン、β-カリオフィレンなどの精油成分から成る)はリラックス効果があると言われています。
これらにより、血行が促進され自律神経系が整うと、更年期障害の緩和にもつながることが期待できます。
よもぎ蒸しは特に、日常的に忙しい方、緊張感が続いている方(交感神経が優位な状態が続いている方)には、とてもおすすめです。
蒸された後の保温効果も高く、体感に個人差がありますが、お腹の中にずっとカイロがあるような感覚で、しばらく温かさが持続します。体が温まり、副交感神経が優位になると、筋肉が弛緩して体がほぐれます。よもぎ蒸しの発汗作用により、個人差はありますが、大量の汗をかくので、蒸された後は、スッキリとした爽快感を体感できます。
その他、よもぎ蒸しで期待できる効果は以下のとおりです。
図6.よもぎ蒸しで期待できる効果一覧
7.まとめ
本記事では更年期症状や更年期障害にフォーカスし、説明しました。
更年期症状の原因は主にエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量減少にあると言われており、閉経に向かう中でエストロゲンの分泌量が大きく変動しながら低下していきます。個人差もありますが、この過程で、心身にさまざまな症状が現れると言われています。
また、更年期症状や更年期障害に似た病気があり、原因の特定が難しい場合もあります。併せて、年代的にもご自身や環境の変化が多く起こりうると思われるので、ちょっとした変化を軽く捉えずに、まずは専門家への早期相談が重要だと思われます。
よもぎ蒸しは、万能の解決策ではなく、あくまで心身のリラックスをサポートする一つの方法です。日常を離れ、自分自身を大事にする特別な時間と空間をつくり、人生の大きな変化の波の中で、自分自身の体や心と上手く付き合っていくための助けとしてご利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ぜひ、本記事が皆様の日常をより良いものにする一助になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
【参考】
大塚製薬株式会社,更年期ラボ,https://ko-nenkilab.jp/
あすか製薬株式会社,女性のための健康ラボMint,https://www.aska-pharma.co.jp/mint/
百枝幹雄,基礎からわかる女性内分泌,診断と治療社,2016,
http://www.shindan.co.jp/view/2191/html5.html#page=5
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター,認知行動療法とは,https://cbt.ncnp.go.jp/contents/about.php
一般社団法人日本女性心身医学会,女性の病気について,https://www.jspog.com/general/details_76.html
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