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繰り返してしまう大人ニキビの原因と予防法について

大人ニキビは、思春期ニキビと発症メカニズムは同じですが原因が異なり、ライフスタイルに深く関わっています。発生する部位によっても原因が異なることから、ある意味、体の異常を見分けるサインと捉えることもできるかもしれません。詳細な原因や種類、予防方法、関連する疾患等についてご紹介します。

1.大人ニキビと思春期ニキビの違い

大人になってからできるニキビと思春期にできるニキビには原因に違いがあります。ニキビができるメカニズムは思春期も大人も基本的には同じですが、原因が違うので適切なケアの方法も異なります。
まずは原因を知って、的確に対処できるように知識をつけることが大切です。

 

1-1.思春期ニキビ

思春期ニキビの特徴は油っぽいことです。主な原因は皮脂の過剰分泌によるものであり、思春期は男性ホルモンの分泌が高くなることにより、皮脂腺が肥大化し皮脂の分泌量が増加します。また、成長ホルモンの影響で毛穴付近の角質が厚くなり、毛穴に皮脂が詰まりやすくなります。
皮脂が詰まると、通性嫌気性菌であるアクネ菌が繁殖しニキビとなります。

 

図1.思春期ニキビと大人ニキビについて
引用:エスエス製薬株式会社.”思春期ニキビと大人ニキビは原因が違う?”.ハイチオール
https://www.ssp.co.jp/hythiol/troublenavi/acne/difference.html
 

 

1-2.大人ニキビ

大人ニキビができるメカニズムは思春期ニキビと同じです。主な原因は、肌の乾燥、ストレス・睡眠不足・体調不良・ホルモンバランスの乱れ等、ライフスタイルに深く関わっています。

 

2.大人ニキビの原因

大人ニキビの原因は肌の乾燥、ホルモンの変化、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ等、ライフスタイルに深く関わっており、また様々な要因が複雑に絡み合っています。
以下に各原因について紹介します。

 

図2.大人ニキビの原因イメージ
引用:第一三共ヘルスケア株式会社.”大人ニキビの原因とは”.MINON.
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon-aminomoist/skin-column/acne-care/
 

 

2-1.ホルモンの変化

女性ホルモンの一つ「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は皮脂分泌を活性化させるはたらきがあると言われています。
プロゲステロンは生理周期における黄体期に分泌され、皮脂腺に作用して皮脂分泌を促します。ホルモンの分泌量や周期は個人差が大きく一概にはできませんが、これらにより、生理前にニキビが悪化して悩む女性がいるそうです。

 

参考:生理周期におけるホルモンの働き

・卵胞期
卵巣内で卵胞が育ち、エストロゲンの分泌量が増加する。子宮内膜が厚くなっていく。

・排卵期
エストロゲンの分泌量が最大になる。卵胞から卵子が排卵される。

・黄体期
排卵を終えた卵胞が黄体となり、プロゲステロンを分泌する。厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態にする。基礎体温を上昇させる。

・生理
受精卵が着床しなければ、子宮内膜が剥がれ落ち体外に排出される。

 

2-2.肌の乾燥

肌の乾燥によりニキビができる原因は主に2つあります。

①皮脂の過剰分泌
角質内部の水分量が不足していると、乾燥から肌を守るため皮脂が過剰分泌されます。こういった肌は乾燥性脂性肌とも呼ばれています。

②ターンオーバーの乱れ
肌のターンオーバーとは、すなわち肌の新陳代謝のことです。ターンオーバーの周期は約4~6週間と言われており、表皮の基底層で新しい皮膚細胞がつくられ、時間をかけて肌の表面に出てきます。これが、角質や垢となって剥がれ落ちていきます。
ターンオーバーが乱れると、古い角質が表皮に残り続け(角質肥厚)、角質層の細胞間を埋めている細胞間脂質等の保湿成分がつくられにくくなります。この保湿成分が不足すると、外的要因(紫外線、ほこり等)から肌を守る機能が低下し、乾燥が進んだり、外的刺激を受けやすくなります。

図3.肌のターンオーバーイメージ
引用:第一三共ヘルスケア株式会社,肌あれの原因.”肌あれの原因”.くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/41_hadaare/

2-3.ストレス

人間は心理的ストレスを受けると交感神経が優位になり、アドレナリン、アンドロゲン、テストステロン、コルチゾール等のホルモンが分泌されます。これらのホルモンは皮脂分泌を促すはたらきがあり、毛穴に皮脂が詰まりやすい原因となります。

2-4.睡眠不足

睡眠に入った後、3時間前後は肌のターンオーバーを促す成長ホルモンの分泌がピークになると言われています。他方、睡眠不足になると、自律神経が乱れ、またホルモンバランスの変化により、皮脂分泌が増加する場合があり、大人ニキビができる要因になります。

2-5.食習慣の乱れ

ビタミンは、肌のターンオーバーを促す、皮脂の分泌量を抑制する、肌の乾燥を防ぐ、ホルモンバランスを整える、等々のニキビの予防等に繋がる作用が期待できるので、栄養バランスの取れた食事が推奨されます。しかし、食習慣が乱れ偏食になると、これらのバランスが崩れるので大人ニキビができる要因になります。

 

3.大人ニキビの種類

毛穴に汚れが詰まった初期の状態から炎症をおこし悪化した状態までの各種段階のニキビがあります。原因究明のためにも、まずはニキビの進行段階を知っておくことは大事です。

①白ニキビ
毛穴に汚れ、皮脂が詰まった最初の段階。ニキビの患部がまだ皮膚で覆われているため乳白色に見えます。

図4.白ニキビイメージ
引用:第一三共ヘルスケア株式会社,肌あれの原因.”ニキビ・吹き出物の原因”.くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/34_nikibi/

②黒ニキビ
皮脂が盛り上がって毛穴が開き、白ニキビの患部が空気に触れ酸化した状態。

図5.黒ニキビイメージ
引用:第一三共ヘルスケア株式会社,肌あれの原因.”ニキビ・吹き出物の原因”.くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/34_nikibi/

③赤ニキビ
黒ニキビが悪化した状態。皮脂に雑菌が繁殖し、炎症を起こしてニキビ患部まわりが腫れる。

図6.赤ニキビイメージ 引用:第一三共ヘルスケア株式会社,肌あれの原因.”ニキビ・吹き出物の原因”.くすりと健康の情報局 https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/34_nikibi/

④黄ニキビ
炎症をおこした赤ニキビが化膿して黄色がかった状態。

⑤紫ニキビ
黄ニキビがさらに悪化した状態。黄ニキビが悪化すると、患部周辺にも膿や血液が溜まり炎症を起こします。膿と血液が混ざり赤紫に見えます。

 

4.大人ニキビができやすい部位

一大人ニキビが発生する原因は、肌の乾燥、ホルモンバランスの変化、ストレス、生活習慣の乱れ等、様々です。そのため、できやすい部位も、顔のTゾーンや鼻周りに加え、Uゾーン、首、デコルテといったフェイスライン等のあらゆる部位に発生します。
ただし、見方を変えれば、発生部位により大人ニキビの原因もある程度特定できるとも考えられます。
例えば、口周りにできるニキビは偏食や食べ過ぎなど食生活の乱れによる胃腸の不調が一因と言われています。また、頬のニキビは思春期であれば皮脂の分泌量が多いことが原因といえますが、20代以降は肌の乾燥や誤ったスキンケア、長時間のマスク着用による衣擦れ等が挙げられます。

 

5.大人ニキビの予防

大人ニキビはできる部位によってある程度、原因を推定できます。もちろん、複合的な要因もありますが、概ね、新陳代謝を高める、肌の乾燥を防ぐ(保湿する)、ストレスをためないようにする(ストレス解消)、規則正しい生活リズムをとる(十分な睡眠をとる)、栄養バランスの取れた食事をすること等で大人ニキビの予防につながると言われています。

5-1.新陳代謝を高める

ニキビができる原因の一つに肌の新陳代謝(ターンオーバー)の乱れが挙げられます。従って、新陳代謝を高めることは肌のターンオーバーを促し、ニキビ予防にも繋がります。
基礎代謝とは人間が生命維持(心拍、呼吸等)をするために必要な最低限のエネルギー量を指し、新陳代謝を高めるには、まず基礎代謝を高める必要があります。
基礎代謝を高めるためには、筋肉量を増やす、ストレッチや有酸素運動をする、内臓を温めはたらきを活発にする、腸内環境をととのえる等々が挙げられます。

5-2.肌を保湿する

肌が乾燥状態にあると、ターンオーバーが乱れたり、皮脂の過剰分泌が促されます。重要なのは、肌に適した水分と油分のバランスです。自身の肌の特徴や適したケアの方法は専門家へのご相談が第一ですが、ニキビができている、できていないに関わらず、保湿は継続することをおすすめします。

5-3.ストレスの解消

ストレスはホルモンバランスを乱す要因の一つです。ホルモンバランスが乱れると、皮脂分泌を促したり免疫力を下げたりといったはたらきが起きます。過度なストレスがかからないように適度にリフレッシュすることがニキビ予防に繋がります。

5-4.十分な睡眠をとる

睡眠に入った後、3時間前後は肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促す成長ホルモンの分泌がピークになると言われています。他方、睡眠不足になると、自律神経が乱れ、またホルモンバランスの変化により、皮脂分泌が増加する場合があります。ニキビを予防し肌を整えるためには、新陳代謝が活発に行われる22時~深夜2時には睡眠に入っている状態が望ましいです。

図7.成長ホルモンの分泌量の変化
引用:養命酒製造株式会社.”睡眠の質を上げることは成長ホルモンに◎眠りを深くする5つの習慣”.楽しむ・学ぶ
https://www.yomeishu.co.jp/health/4188/

5-5.栄養バランスの取れた食事をとる

特にビタミンは、肌のターンオーバーを促す、皮脂の分泌量を抑制する、肌の乾燥を防ぐ、ホルモンバランスを整える、等々のニキビの予防等に繋がる作用が期待できます。
積極的にビタミンをはじめとするタンパク質、食物繊維、必須脂肪酸等を含む食事を摂取しましょう。

表1.ビタミンのはたらきと含有される食材

 

はたらき

食材

ビタミンA

免疫力を高めてアクネ菌の繁殖を抑制

緑黄色野菜、レバー等

ビタミンB

皮脂の過剰分泌を抑える

レバー、赤身の魚、豚肉、大豆製品等

ビタミンC

活性酸素を除去し肌の炎症を抑える、肌の乾燥を防ぐ

野菜、果物等

ビタミンE

肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促す

ホルモンバランスを整えて皮脂の過剰分泌を抑える

卵、オリーブオイル、アーモンド等

 

6.大人ニキビに似た肌トラブル

大人ニキビは毛包炎という皮膚疾患の一つです。毛包炎とは、毛穴の中の毛根を包んでいる部分に、傷等から細菌が入りこみ感染症を起こします。毛包炎の他に症状や形状が類似している等、様々なトラブルが存在します。

表2.大人ニキビに似た肌トラブル例

名称症状等
おでき毛包炎の一種。
ブドウ球菌感染により生じる皮膚膿瘍。悪化すると「せつ」、「よう」と病変し、痛みや発熱等が伴う。
マラセチア毛包炎毛包炎の一種。
マラセチアという皮膚の常在菌が、汗や湿気により毛包内で増殖し、炎症を引き起こす。胸部や背中等に生じる。
口囲皮膚炎口の周囲や顎にできるでこぼこした赤い発疹。正確な原因は不明。酒さにも類似する。
酒さ顔面の中央部に発赤と吹き出物が現れ、皮膚下の血管が見えるようになる。アイルランド系及び北欧系の人で最もよくみられるが、皮膚の色が濃い人にも生じる。原因は不明。
粉瘤(アテローム)表皮嚢腫の一つ。皮膚の内側に袋状の構造物ができ、角質や皮脂が貯まってできた腫瘍の総称。顔、首、背中、耳のうしろ等にできやすい傾向がある。強く圧迫するとネリ状の物質が出てくることがある。
似たものに「稗粒腫(はいりゅうしゅ)」がある。稗粒腫はうぶ毛の毛穴の皮膚から生じる。主に眼のまわりにできる白くてかたい小さな表皮嚢腫。

その他、皮膚炎や皮疹・発疹、痒疹(ようしん)等の様々な皮膚疾患が挙げられます。原因が分かっているものもあれば、未だ明確になっていないものもあります。

 

7.よもぎ蒸しで大人ニキビを改善

よもぎ蒸しで期待できる効果は、大人ニキビの予防や改善に役立つと考えられます。
よもぎ蒸しは、まるで温泉に入っているように、約40℃の蒸気で体を芯から温めます。まさに温泉に入るのと同じように、体を芯から温めるので、血行促進の効果が期待できます。血行が促進され自律神経系が整うと、ホルモンバランス等の内分泌系のはたらきも整います。
また、蒸された後の保温効果も高く、体感に個人差がありますが、お腹の中にずっとカイロがあるような感覚で、しばらく温かさが持続します。
さらに、よもぎの香り(よもぎに含まれるシネオール、α-ツヨン、β-カリオフィレンなどの精油成分から成る)はストレス解消につながるリラックス効果があると言われています。

 

8.まとめ

大人ニキビと思春期ニキビの違いに始まり、原因、種類、できやすい部位、予防方法、類似する肌トラブル等をご紹介しました。
大人ニキビの主な発生原因はライフスタイルに深く関わっており、生活リズムをととのえることが大人ニキビを治す一つの方法になります。
とはいえ、忙しい日々を送る皆様にとっては、そう簡単なことではないかもしれません。
生活リズムをガラッと変えることは難しくとも、日々に少しのリフレッシュ時間を設けるのに、よもぎ蒸しはとても手軽で取り入れやすいものと言えます。

本コラムが、皆様にとってよもぎ蒸しを知るきっかけになり、また心と体のバランスを整える一つのツールとして、身近な存在になれば大変嬉しく思います。

最後までお読みくださりありがとうございます。

 

【参考】
日本皮膚科学会.“皮膚科Q&A”https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html
第一三共ヘルスケア株式会社.“ひふ研”https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/
MSDマニュアル.”14.皮膚疾患”.
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/14-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%96%BE%E6%82%A3
MSDマニュアル家庭版.“17.皮膚の病気”.
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/17-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97
株式会社ヤクルト本社 中央研究所.”菌の図鑑”.https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4234/
株式会社クイック.”男性ホルモン(アンドロゲン)”看護roo!.https://www.kango-roo.com/word/21064
エスエス製薬株式会社.”肌荒れの改善策③睡眠と肌荒れの関係”ハイチオール.
https://www.ssp.co.jp/hythiol/troublenavi/roughskin/sleep.html
美容皮膚科タカミクリニック.”ニキビに効く食べるべきものと肌に悪い食べ物は?”.https://takamiclinic.or.jp/media/acne/food/

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