冷え性(冷え症)とは?原因と改善するための対策について解説
冷え性(冷え症)は、6タイプに分類され、自律神経の乱れ、ストレス、筋力低下等が原因と考えられています。
本記事では、冷え性(冷え症)の定義から、原因、その改善策、よもぎ蒸しがどう冷え改善に結びつくか等についてご紹介します。
1.冷え性(冷え症)とは?
手足の末端が冷える、体の内側(内臓)から冷える、下半身が冷える等々、多くの現代人が「冷え」を自覚しています。
「冷え」という言葉が広く一般に浸透している中で、「冷え性」と「冷え症」という言葉がありますが、それぞれどのような違い、定義があるのでしょうか。
本文では参考資料を引用し、各用語の定義を整理します。
1-1.「冷え性」と「冷え症」の違いは?
参考資料(1)を引用すると、「『冷え』とは冷えている客観的な状態または感覚を表すが,『冷え性』は冷えやすい体質や過敏な性質(冷感過敏症)を表す主観的な言葉である.そもそも中国や日本の伝統医学には『寒』や『冷』という概念はあったが,『冷え性』という概念はなかった.『冷え性』という言葉は,明治時代の小説で初めて登場する俗語であり,そのため西洋医学においては昭和中期まで医学書や医学辞典に掲載されていない.一方,漢方では「未病」の一つとして「冷え」を治療対象としてきたが,実は,現在漢方で用いている「冷え症」という言葉も,昭和44年の漢方書籍に初めて登場する比較的新しい用語なのである.いずれにせよ『冷え性』も『冷え症』も日本固有の概念であり、客観的な冷えの有無に関わらず、共に主観的な『冷えが苦痛である』という自覚症状により診断される病態なのである。」と述べています。
以上を参考に、本文においては「冷え性」と「冷え症」とを明確には区別せず、「主観的な冷えが苦痛であるという自覚症状がある状態」と定義し、記載を進めていくこととします。
現代人は冷房の効いた室内や、冷たい食べ物や飲み物を摂取する機会が多いので、手足の末端だけではなく体内や内臓から冷えている、慢性的な冷え性(冷え症)である人が多いと思われます。
(1)伊藤剛,冷え症と自律神経,日本自律神経学会総会,2020,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/1/59_10/_pdf
2.冷え性の種類・症状
体温は視床下部にある体温を調節する機能と自律神経のはたらきにより一定に保たれています(ホメオスタシス)。冷え性はこれら体温調節機能や熱生産・熱放散が上手くはたらかないことが原因で起こり、6タイプに分類されると言われています。
2-1.冷え性には種類がある?
基本の4タイプとして、足や下半身が冷え、上半身がのぼせる場合がある「下半身型」、四肢末梢が氷のように冷える「四肢末端型」、体表面は温かいが腹部など体内が冷える「内臓型」、身体の表面も内部も冷える「全身型」であります。
さらに、身体一部が局所的に冷える「局所型」、異なる2タイプの冷えが混在する「混合型」に分類されると言われています。
図1.冷え基本4タイプの生理学的特徴
引用:伊藤剛,冷え症と自律神経,日本自律神経学会総会,2020,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/1/59_10/_pdf
2-2.その症状、冷え性かも?
冷え性(冷え症)とみられる自覚症状は主に以下が挙げられます。
○「下半身型」タイプ
・顔や手など上半身に冷えは感じない(むしろ熱がこもっているように感じる)が、足やお腹、お尻など下半身に冷えを感じる
・足のむくみ、腰痛、不眠
○「四肢末端型」タイプ
・手足の先がよく冷えると感じる
・汗をあまりかかない、頭痛、不眠、腹痛
○「内臓型」タイプ
・手足は温かいが、お腹が冷えているように感じる、お腹が張っているように感じる
・腹痛や便秘、膀胱炎、月経(生理)不順になりがち
○「全身型」タイプ
・手足の先を含め、全身が常に冷えていると感じる、肌寒い気がする
・体がだるい、疲れやすい、食欲がなくなる、下痢をしやすい
3.冷え性の原因とは?
冷え性は体温調節や熱生産・熱放散のはたらきが上手く機能しないことにより起こると考えられています。これらの機能を阻害すると考えられる具体的な原因は、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、筋力の低下、基礎代謝の低下、食生活の乱れ、喫煙等が挙げられます。
図2.生理学的な体温調節
引用:看護roo!.“体温の調節|調節する(5)“.ワンポイント生理学
https://www.kango-roo.com/learning/1711/
①自律神経の乱れ
不規則な生活やストレス、例えば常に空調の効いている室内にいることによる室内外の寒暖差等、により交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、血流が滞ることにより手足や身体の冷えが生じます。
②ホルモンバランスの乱れ
血管を弛緩させるはたらきがあるエストロゲンの分泌量が減少する(ホルモンバランスが乱れる)と血管が収縮し、循環血液量が減少し、冷えに繋がると言われています。
③ストレス
精神的なストレスを受けると、自律神経が乱れたりホルモンバランスが乱れたりして冷え性を引き起こすこともあります。
温かい室内にいても、ストレスを感じると交感神経が優位となり血管収縮、血流が滞り、手足の末端に血液が行き届かず冷えとなる場合もあります。
④筋力の低下
筋力が低下したり、筋力が少ないと体内で生産できる熱量も少なくなります。とくに、女性は男性よりも筋肉量が少ないので必然的に生産される熱量も少なく、冷えの原因になりやすいと言われています。
⑤基礎代謝の低下
基礎代謝量とは一日に必要な最低限のエネルギー量(熱量)を指します。加齢や筋力低下により基礎代謝が低下すると、体内での熱生産も低下し、冷えの原因になると言われています。
⑥食生活の乱れ
栄養バランスの偏り、体を冷やす食べ物の摂取、不規則な食事等により食生活が乱れると、基礎代謝の低下に繋がり体内での熱生産が低下する、また自立神経の乱れに繋がり、冷えの原因になると言われています。
⑦喫煙
ニコチンなどの血管収縮作用により血流が減少すると、手先や足先といった末端まで血液が行き届かず、冷えを感じるようになります。
4.冷え性を改善するためにできること
そもそも冷え症の人とそうではない人との差はなんでしょうか。主には、基礎代謝量の違い、エネルギー摂取量(食事量)等と考えられます。基本的に体内で熱を生産しなければ体温は上昇しないので、熱生産をするための行動、すなわち筋肉量を増やす、食事をバランス良くとる等が根本的な冷え症の改善・緩和には必要と考えられます。
①入浴などで体を温める
入浴で体を温めると、血流が促され副交感神経のはたらきが優位になります。血管の収縮と拡張が交感神経と副交感神経のはたらきにメリハリを与え、自律神経のリズムを整える一助となります。
②運動で筋力をつける
筋力がついたり運動量が多いと、筋肉を動かすために体内で生産される熱量が増えます。さらに筋肉の収縮運動により血流も促進され、体を温めます。
③体を温める食事をとる
栄養バランスを考えて体を温める食材を摂取し、体内の熱生産を促すことが冷え改善に繋がります。とくに、体を温めると言われている食材は、冬野菜(血行促進効果のあるビタミンやミネラルを多く含む根菜)、発酵食品(エネルギー代謝を高めたり、血行促進の効果があるビタミンや栄養素を含む)等が挙げられます。
また、効率的に水分補給(成人で約1.5L/日程度)をすることで、血流促進や必要な酸素や栄養素が全身に行き届き、体が温まりやすくなると言われています。
根本的な冷え性の改善にも繋がると考えられます。
引用:農林水産省.”冬に旬を迎える野菜って?”.aff(あふ)バックナンバー2019年12月
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1912/spe2_01.html
5.男女で違う冷え性とは?
筋肉量や脂肪量の違い、またホルモンバランス等から男性と比較し、女性の方が冷えを感じている人は多いようです。
図2.冷えの自覚がある人の割合
引用:株式会社ツムラ.” 【医師監修】2人に1人が感じる冷え。その原因と対策は?”.漢方通信.
https://www.tsumura.co.jp/brand/kampo-communication/kampo-blog/019.html
他方、冷えへの対処法は男女で違いはありません。基本的には、体を温める、筋力をつける、体を温める食事をとる等で改善・緩和を図れます。
6.よもぎ蒸しで冷え性対策を
体を温めるという観点からよもぎ蒸しも冷え対策としての効果が見込まれています。よもぎ蒸しは、温泉に入っているように約40度の蒸気で、体内(内臓)から体を温め、血行を促進し、内臓の動きを活発にします。
冷え症は、慢性的な症状であることが多いので、一長一短で改善するのは難しいと考えられます。まずは、継続してよもぎ蒸しに通うことで、基礎代謝の上昇を目指してみてはいかがでしょうか。
7.まとめ
そもそも冷え性(冷え症)とは?から始まり、冷えの種類・症状、原因、改善策等についてご紹介しました。
冷えで悩んでいる現代人は多いと思われます。内外から体を温めることが冷え改善の方法ですが、一長一短では為し得ません。運動する、摂取する食事に気を遣う等、様々な具体策はありますが、せっかくならリラックスしながら体質改善を試みるのも良いのではないでしょうか。
まさによもぎ蒸しは自律神経のはたらきを整えながら、体を温める習慣をつくるという点で冷え改善・緩和の一助になり得ます。
本コラムが、皆様にとってよもぎ蒸しを知るきっかけになり、また冷え改善・緩和のための一つのツールとして、身近な存在になれば大変嬉しく思います。
最後までお読みくださりありがとうございます。
【参考文献】
尾形優.金子健太郎.後藤慶太.河野かおり.山本真千子.“冷え症の生理学的メカニズムについて”.日本看護技術学会誌.2017,15(3),p.227-234.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnas/15/3/15_227/_pdf
高橋一広.“エストロゲンと血管”.日本生殖内分泌学会雑誌.2013,vol.18,p.11-15.
http://jsre.umin.jp/13_18kan/7-review2.pdf
中村幸代.“「冷え症」の概念分析”.日本看護科学会誌.2010,vol.30,p62-71.news.2009-03-11.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/30/1/30_1_1_62/_pdf
株式会社第一三共ヘルスケア.“手足の冷え(冷え症)の原因”.くすりと健康の情報局.
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/11_teashinohie/
看護roo!.”体温とその調節”.ワンポイント生理学.
https://www.kango-roo.com/learning/2428/
厚生労働省.”食事誘発性熱生産/DIT”.e-ヘルスネット.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html
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