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PMSは自分で改善できる?原因や対策について紹介

PMSは精神的神経的不調や身体的不調、あるいは両方を引き起こし、深刻な場合は日常生活に支障をきたす症状となります。原因には、ホルモンが関わっていると言われていますが、まだ解明されていないことが多くあるそうです。
本記事では、症状の改善や軽減が期待できる方法やよもぎ蒸しがどう活用できるか等についてご紹介します。

1.PMS(月経前症候群)とは

PMS(Premenstrual Syndrome)とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量の変動、プロゲステロンの代謝産物であるアロプレグナノロンが関与し、精神的神経的不調(イライラ、睡眠障害、集中力の低下、食欲不振・過食等)や身体的不調(腹痛、頭痛、乳房の張り等)の症状を引き起こしているのはないかという説があります。月経が始まると症状が消えたり軽くなったりする特徴があります。

1-1.PMSの主な症状

PMSの症状は主に精神的なものと身体的なものに分けられます。
<精神的症状例>
・イライラする、怒りっぽくなる
・泣きたくなる
・ぼーっとする
・情緒不安定になる
・落ち着かなくなる、集中できない

<身体的症状例>
・乳房のはれ
・肌荒れ
・眠気、不眠
・だるさ、疲れ
・頭痛、頭が重くなる感じ

 

1-2.PMDDとの違い

月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)とは、PMSの症状の中でも、とくに精神的症状が強い場合を指し、うつ状態、不安感、強迫感、自己喪失感等の社会生活を送る上で重大な障害となりうる症状が現れると言われています。
幅広い年代で発症すると言われており、日本では思春期にやや多い傾向、1980年代以降、世界でPMS、PMDDの研究が進み、現在では診断基準も設けられています。
原因の詳細は不明ですが、プロゲステロンやこれに関係する物質の変動等にあるのではないかと考えられています。

 

1-3.PMSと月経困難症の違い

月経困難症とは、日常生活に支障をきたすレベルの下腹部の痛みや腰痛などの症状が現れる生理痛を指します。
月経困難症は、生理直前または生理開始とともに症状が現れると言われており、子宮内膜から分泌されるホルモン(プロスタグランジン)の運動が原因であるもの(機能性月経困難症)と、何らかの病気が原因であるもの(器質性月経困難症)の二つに分かれます。

機能性月経困難症の原因は、子宮内膜の一部が剥がれ落ちずに子宮内に溜まり、排出を促そうと子宮収縮運動が大きくなること、ストレスや冷え等で血管が収縮し子宮出口が狭まるため子宮収縮運動が大きくなること等と考えられています。とくに、子宮頸管が狭く硬い10代や20代は、痛みが強くなる傾向にあると言われています。
器質性月経困難症は、初経から数年後の20代後半以降に多く現れ、子宮内膜症や子宮筋腫等が原因の可能性があると言われています。

 

図1.月経(生理)がおこる仕組み=プロスタグランジンが子宮を収縮させる
引用:株式会社第一三共ヘルスケア.”月経痛(生理痛)の原因”.くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/10_gekkeitsu/


1-4.PMSの原因

PMSの原因は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変動、プロゲステロンの代謝産物であるアロプレグナノロンにより、脳内ホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことにあるとも考えられていますが、具体的な詳細はまだ解明されていないようです。
脳内ホルモンや神経伝達物資は、女性ホルモン以外にもストレス等の影響も受けるため、様々な要因が重なってPMSが起こると言われています。

 

図2.女性のライフステージごとのエストロゲン分泌量と起こりやすい病態・疾患
引用:あすか製薬株式会社.”年齢とともに変化!女性ホルモン”.女性のための健康ラボMint+
https://www.aska-pharma.co.jp/mint/womanhealth/hormon/#anc1

 

2.PMSの原因と対策

前述のとおり、PMSの原因は女性ホルモン等の分泌量の変動やストレス等様々な要因が関与していると言われています。
具体的に、日常生活で発症し得るPMSの症状と、その対策についてご紹介します。

①頭痛や偏頭痛などの身体の症状
慢性的に起こる頭痛や偏頭痛は、血管性頭痛とも呼ばれており、頭部がズキズキと痛み、吐き気や嘔吐を伴う特徴があります。
原因の一つにエストロゲンの濃度上昇、変動が関与している可能性があると言われていますが、頭痛が起こる基本のメカニズム(頭部の血管や神経が圧迫や炎症等により、痛みの刺激を受け取る部位が反応することで生じる)との関与等の具体的なことは分かっていません。
対策は、完治ではなくコントロールを目的とした療法が多いようです。鎮痛薬等の薬剤利用の他、リラクゼーションやヨガといった行動療法を用いて、ストレスをコントロールする、筋肉の緊張を緩和させること等が療法とされているようです。

②ストレスやイライラなどの内面の症状
精神的神経症状は複雑で、はっきりとした原因は解明されておらず、女性ホルモンやその代謝産物が関与しているのではないかという説があります。
今のところ、対策としては、薬物治療や生活習慣を整える等の行動療法、漢方を使う方法もあるようです。

③食欲が増えるなどの行動
甘いものが食べたい、脂っこいものを大量に食べたくなる等、食欲が増大することがあります。
原因は、プロゲステロンが血糖値をコントロールするインスリンの作用に影響を及ぼし、血糖値が変動することに拠るという考えもあるようです。
対策は、血糖値の変動をできるだけ抑えるためバランスの取れた食事をすること、よく噛んでゆっくりと食べることで血糖値を上げやすい炭水化物の吸収速度を緩やかにする等の食事療法が効果的と言われています。

 

3.PMSの改善が期待できる生活習慣

日常生活において自律神経を整える生活習慣を身につけることが、女性ホルモンを含むホルモンバランスを恒常的に保つ一つの方法です。継続して「習慣にする」ためのポイントをご紹介します。

①適度な運動を取り入れる
適度な運動をすることでリフレッシュに加えて、自律神経が整い、引いてはホルモンバランスも整います。15分から30分程度のウォーキングやヨガ、ストレッチ等が効果的と言われています。
通勤や通学の中で、一駅分歩いてみる、少し遠回りしてみる等日常の中に取り入れることが継続できるポイントになるかもしれません。

②生活習慣を整える
生活習慣とは大きく「睡眠」、「食事」、「運動」に分類されます。
睡眠においては、成人の場合、6時間~8時間程度の睡眠時間を確保すること、就寝1~2時間前に入浴し体を温めてから寝床に入ること、日中に日光を浴びて体内時計を調節すること等が推奨されています。
また、食事においては、主食・主菜・副菜を組み合わせバランスの良い食事が推奨されています。「朝からあまり食べられない」という方は、まずは水や牛乳等を飲んで胃腸を動かすこと、乳製品や果物等食べやすいものから食べてみてはいかがでしょうか。

③リラックスや休息を取り入れる
例えば、趣味に没頭する、友達や家族との時間をもつ、ゆっくり湯船に浸かり体を温める、適度な運動をする、アロマ等好きな香りでリラックスする等々、様々な方法があります。
自律神経を整えるためにとくにおすすめなのは体を温めることです。
交感神経が優位になると、血管を収縮させ血流が滞り、冷えに繋がったり、老廃物などの排出が上手くできなかったりしますが、運動や入浴で体を温めると、血流が促され副交感神経のはたらきが優位になります。

 

4.よもぎ蒸しで心も体もリフレッシュ

よもぎ蒸しは約40℃の蒸気で体を芯から温めます。まるで温泉に入っているかのような心地がするそうです。体と内臓を蒸気で温めながら、よもぎの香り(よもぎに含まれるシネオール、α-ツヨン、β-カリオフィレンなどの精油成分から成る)によるリラックス効果も期待できるそうです。
これらにより、血行が促進され自律神経系が整い、ホルモンバランスもととのうと言われています。

 

5.まとめ

PMSとはから始まり、主な症状、月経困難症との違い、原因と対策等についてご紹介しました。
PMSは、精神的神経的不調や身体的不調、あるいは両方を引き起こすことがあり、より深刻な症状(PMSDD)を起こす場合もあります。他方、その原因はホルモンに関係すると考えられているものの確かなことは今だ解明されていません。
そのため、根本原因を解決することができず、対策は症状の軽減に努めることにつきます。その中で、よもぎ蒸しは、自律神経をととのえ、引いてはホルモンバランスをととのえる一助になると言われています。
本コラムが、皆様にとってよもぎ蒸しを知るきっかけになり、生理にかかるあらゆる症状の軽減等に貢献しうる一つのツールとして、身近な存在になれば大変嬉しく思います。

最後までお読みくださりありがとうございます。

 

【参考文献】
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http://www.jsog-oj.jp/detailAM.php?-DB=jsog&-LAYOUT=am&-recid=7049&-action=browse
公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター.気になる病気・健康のこと「食生活・もっと詳しく」.
http://www.osaka-ganjun.jp/health/lifestyle/diet/more.html

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